何かにこだわりを持って生きるって素晴らしいとは思いませんか?
こだわりは回り道ですが、人生の糧(かて)になり得ます。
山田芳裕先生のデビュー作『大正野郎』は、昭和の時代に生きながらも、大正浪漫と芥川龍之介に「こだわり」と「憧れ」を持った、とある大学生のお話です。
あなたの中で、大正時代の印象を決定づける作品となるでしょう。
では、ちょこっとレビューします。
- 読書に影響がない程度でネタバレしています。
Wikiによると、1987年、山田芳裕(よしひろ)先生が大学在学中に描かれたデビュー作で、主にモーニング系の雑誌に掲載されていました。
大正野郎ってどんな話?
大正時代かぶれの青年・平 徹(たいら てつ)と、彼を取り巻く人達とのハートフルコメディです。
大正浪漫と芥川龍之介をこよなく愛し、服装や言葉遣いにもレトロなスタイルを貫く大学生・平。同じ下宿人の佐山や、下宿屋のおじさん、おばさん、その娘の由貴や大学の同級生との関わりの中で、変わり者扱いされたり、しばしば大正浪漫を愛する自分と周囲との感覚のズレを感じつつ、一方で金欠や恋愛に悩むなどの学生らしい生活を送っていく。
Wikipediaー大正野郎
URL:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E6%AD%A3%E9%87%8E%E9%83%8E
最終更新 2015年10月26日 (月) 11:32
主人公・平 徹(たいら てつ)は大正浪漫と芥川龍之介にご執着
wikiには”大正浪漫と芥川龍之介をこよなく愛し〜”と表現されていますが、執着心ですねこれは。実際に近くにいたら怖いと思いますよ…。
しかし、その執着心を大正野郎では型破りな男前に変換して読ませてくれます。
主人公・平の型破りな男前さが、筆で描いた決まりのない枠線に現れていると思います。
大正野郎は主人公・平の大学時代の物語です。是非とも、その執着心=男前の行き着く先を見たいものです。(続き描いて〜〜!)
主人公・平 徹(たいら てつ)という男の周辺
平 徹の周りには、素直で誠実な人ばかりで、悪い人がいない。全くいない。
ミンナ、イイ人…
なんというか暖かすぎるんですよね。当時初めて読んだときは、ただ、おかしくて面白いってだけだったんですけど、レビューを書くために今さら読んでみると、
ナミダガデテキタヨ…
ヒロインの下宿先の一人娘の由貴(ゆき)ちゃんも、これまた可愛くて良い人。
男なら誰でも惚れます
男性の作者が、男性が好きな要素満載の女性を描きました、って感じです。
下宿先の友達? の佐山くんも、良い味出してます。大正野郎が書かれた80年代バブル期のイケメンです。主人公・平のことを変人だとは思っていますが、嫌ったりはしません。男前ですね。
大正野郎に出てくる人たちはみんな、主人公・平の個性を大切にしています。一見、ただの無関心にも見えますが、平を含む登場人物全てが、人それぞれだということを理解しているからこそかと思います。
傷つく人がいない
ちょっとしたユートピアですね。
私的にこの作品は、大人向けの、ちょっと背伸びした、
サザエさん
のように思います。
おすすめポイント
山田先生の描く主人公はみんな男前だと思います。大正野郎は山田先生の原点だと思います。描かれた時代の古さを感じますが、先生の他の作品が好きならば、問題なく読めると思いますよ。
あと、大正ロマンな主人公・平が昭和に生きるチグハグさがいいですね。
そういえば…
現在は文庫版で1冊に全14話入っていますが、最初のものは1・2巻に分かれていました。私は続きを待っていたのですが、結局、この2冊で完結。
大正野郎3につづく
と、2巻目の終わりに『終』の右横に小さく書いてあったから期待していたのですが…。
以上で、”大正野郎”のレビューをおわります。ありがとうございました。