「飛んでみろ」「ジャンプしろ」とは言われませんでしたが、「跳ねてみろ」は言われました。
1990年代、不良どものカツアゲやイヤガラセなんてなんのその、お小遣いの100円玉を握りしめて街のあちこちにあったゲームセンターに入りびたりだった少年時代…。
そういった少年時代を過ごしたオッサンたちに特にオススメしたいのが『ハイスコアガール』というコミックです。(甘酸っぱい感じが欲しい人は誰でも大丈夫ですよ!)

- コミックを読むにあたってストーリーがわからない範囲で紹介しています。
コミック『ハイスコアガール』ってどんなおはなし?

コミック『ハイスコアガール』は、主人公ハルオとライバルでヒロインの大野晶が、小学6年生のときから対戦格闘ゲームを通してつづいていく『因縁』の物語。
『因縁』というと、なんだかおっかないなと思ってしまいますが、ボーイミーツガールなラブコメなんですよね。
足し算だけで表現するとこんな感じ。
対戦格闘ゲーム + ライバル関係 + ラブコメ = ハイスコアガール
おや?ちょっと気になるのが『対戦格闘ゲーム』というワード…。
でも、「対戦格闘ゲームしたことなくても読めるのかな?」と思って尻込みしてるそこのあなた、安心してください。わたしも何をどう戦っているのかさっぱりでした。
ですが、作者の対戦格闘ゲームに対する愛の熱量によって、バトルして盛り上がってる雰囲気がしっかり伝わります。どちらが優勢で劣勢なのかもちゃんとわかりましたよ。
格闘ゲームがわからなくても、好きにならなくても、ちゃんと読めます。
というわけで、ちょうどいい読みごたえでダラダラと続かない全10巻という物語の長さ。手軽に読めるのでオススメしておきます。
作者は、押切蓮介(おしきりれんすけ)先生。他に『でろでろ』『ミスミソウ』『ピコピコ少年』、『ハイスコアガール』のスピンオフ的な『ハイスコアガール DASH』などがあります。
コミック『ハイスコアガール』に登場するキャラクターたち
いつも独特の世界観を楽しませてくれる押切先生。先生の力量から生まれるキャラクターたちが『ハイスコアガール』を甘酸っぱくもあっさり読めるラブコメに仕上げています。
主人公『矢口 春雄(やぐち はるお)』通称『ハルオ』という少年…

ハルオは、ビデオゲームが友だちというぐらい大好きで上手だけど、勉強は苦手でかしこくない。
「そのかわりに」と言っていいのかな、サッパリした性格が持ち味で、お母さんや駄菓子屋のおばあさんを大切に思うやさしい子。
マイノリティーなグループに属するどこにでもいるような少年ですよね。でも、サッパリしてるという性格は女性にウケが良さそう。
そういえば、わたしも子供のころはハルオと同じく勉強そっちのけでビデオゲームにハマっていました。
駄菓子屋さんの店先のゲームで遊んだり、ちょっと街に出てパチンコ屋さんの横のゲームセンターへ行ったり。しょっちゅう足を運んでましたよ。
そう、少年期のハルオとわたしとは重なるところがたくさんあります。
ハルオと同じく、一人でよくゲームセンターに通いました。
ハルオと同じく、ゲームセンターで不良に絡まれました。
ハルオと同じく、ゲームが友達でした。ゲームで友たちもできました。
でも、ハルオの物語には女が出てくるんですよ。そう、ラブコメなんですよ。
ちょっと悔しいですね。それにしてもハルオはわたしによく似ています。サッパリしてるという性格をのぞいては。
『ハイスコアガール』からラブコメを抜き去ったのが作者の少年時代をモチーフにした『ピコピコ少年』
ヒロイン『大野 晶(おおの あきら)』通称『大野』という少女…

ヒロインの大野晶はハルオと小学6年生のときの同級生で、学校の送迎にハイヤーがつくほどのお金持ちなお嬢様。対戦格闘ゲームを通してハルオと接点を持つようになります。
面白いのは、彼女は無口で寡黙なしゃべらないキャラクターということ。コミック『ハイスコアガール』を特徴づける重要なポイントになります。これが読者を引きつけるんですよね。
考察になるので理由はすっ飛ばしますが、恋愛感情を持つにはまだ幼い少年から見た気になる女の子のイメージをそのままキャラクターにしたのが大野なのかなと思います。
男にとって、女性は小さいときからミステリアス(不可解)なのですよ。
それにしても、ヒロインがまったく話さないって、ひとつのカタチとして面白いですよね。
もうひとりのヒロイン?『日高小春(ひだか こはる)』通称『日高』という少女…

もうひとりのヒロイン・日高小春は、ハルオとは中学校からの同級生。
ミステリアスなヒロイン・大野に対して、もうひとりのヒロイン・日高は、ほんとにどこにでもいそうな主体性のない影のちょっと薄い女の子。
ですが、作品の視点を変えれば本当に魅力的な主人公は彼女だったように思います。
ネタバレになるかもしれないので隠しました。タップ(またはクリック)したら読めます。
主人公の名前は「ハルオ(雄=男)」、日高は「コ(子=女)ハル」だから、ヒロインではなくもうひとりの主人公・ライバルだったのかもしれません。
また、『ハイスコアガール』の文字を抜き出して名前を決めているのかも?
そういうところも頭において読んだら、さらに面白くなると思いますよ。
ちなみに、成人した日高小春を主人公にした『ハイスコアガール DASH』という続編ともスピンオフともいえる作品が連載中(2022/11時点で3巻まで発売中)です!
前作『ハイスコアガール』と比べて格闘ゲームの対戦シーンが驚くほど面白くなっています。また、ストーリーもしっかり練られていて次の巻が待ち遠しい。(偉そうなことを言って申し訳ありません)
コミック『ハイスコアガール』まずは1巻だけでも読んでみて!!
第1巻は小学6年生の頃の主人公とヒロインの物語。これで完結しても良いぐらい読後感がいいです。
2巻以降は1巻が気に入った人。とくに、主人公たちのその後が知りたい人にオススメしたいです。
格闘ゲームを知らなくても、その他のビデオゲームを知らなくても、その時代に生きていなくても、甘酸っぱい感じを楽しめるかと思いますよ。
というわけで、コミック『ハイスコアガール』の紹介を終わります。最後まで読んでくれてありがとうございました。
なんしかの雑談:UFOキャッチャー

1989年の関西のとある府。わたしが学生の頃のお話。
ゲームセンターの店頭に『外国のタバコ』がいっぱい入ったUFOキャッチャーがあったので、めちゃお得とばかりに必死になって取っていました。(すでにオチのわかった人がたくさんいそうですね)
しかし、20個近く取ったあたりで外国のタバコではないとわかり顔面蒼白。店員や他の客がジロジロとみている理由がここでやっとわかりましたよ。
後日、それらをコンビニの手提げ袋に入れて、
「使わへんし、やるわ…。使ったこともないし、使い方も知らんし、使うこともないし…」
と言って、彼女がいる友達に全部あげちゃいました。
あの頃は、1プレイ20〜50円のゲームセンターがあちこちにありました。ただしゲキムズ設定。下手くそすぎて5分もプレイできませんでしたよ。懐かしい。