2018年に横浜市で発生した幼児虐待事件を再現した「児童虐待体験VR」のパイロット版が YouTube で公開されています。
これは、子どもの視点で虐待を体験することで、児童虐待の対策につなげようという試みです。
PSVR で視聴してみましたので、ちょっとした感想などを記録しておきます。
児童虐待体験VR|パイロット版
見るのが辛くて、気分が悪くなるかもしれませんので、自己責任で体験してみてください。
Weste&Co. さんのホームページには、VR 装置 で視聴する場合は、Oculus Go を推奨(スマートフォン可)されています。
もちろん、VR 装置がなくても、PC や スマートフォンなどで動画を再生し、画面をドラッグして視点を変えながら視聴することができます。
わたしは、PSVR(PS4 Pro) で体験しました。やはり画質が悪いですね。ひょっとしたら、体験の「質」に影響しているかもしれません。
抑えられている VR 体験
この VR 映像で再現しているのは、子供の「視線」のみ。
VR を通して子どもになった私は、3D 映像の中にいる両親の表情を目で必死で追っていました。これからどうなるんだろうか、次は何をされるのだろうかと思いながら。
ただ、私の場合は、そんなに不安になりませんでした。
おそらくですが、VR の仮想体験に慣れていて、それほど特別な体験にならなかったということがひとつ。
そして、虐待を受ける子どもの泣き声や動作などが入っていなかったということがひとつ。
もし、虐待を受ける子どもの苦痛が表現されていたら、わたしも含めてほとんどの人は、最後まで見ることができなかったと思います。
ですが、この VR 動画は、リアルよりも啓発が目的なので、その目的は十分にはたせていると思います。
児童虐待を難しくしている要因の一つ
今回、この映像を見て色々と思うところがあり、そのなかで、「家族」という情緒的なつながりについては、特に考えさせられました。
核家族化がすすみ、家族という単位が希薄になったこの時代ですが、子供にとっても大人にとっても、家族とは、人間を育てる最も身近な場所なんだと改めて思ったわけです。
また、家族というものは、児童虐待の解決を難問にしている要因の一つでもあるのではないかとも。
家族の問題に他人(ここでは児童相談所)が深く関与していいのか、壊してしまっていいのか、といった問題が常につきまとっているようです。
今回、この VR 動画を見て、そういうことがぼやっとわかったような気がします。
では、問題を解決するにはどうすればいいの? と問われると…私は当然わからなくて、専門家のみなさんでも答えを出すことはできないのではないでしょうか。
「今できること」しか、対策(状況に応じて問題を解決する処置や手段)がないのではと思います。
客観的な視点から
そして、もうひとつ。
自分の親や自分自身とこの動画に出てくる虐待親との違いはあるのか、ということを考えてしまいました。
そしてわたしは、この動画に出てくる虐待親が、何らかの理由によって、愛情や社会性が歪んでしまって、不安感や焦燥感に囚われているんだな、という感想を持ちました。
なぜそう思ったのかは詳しくは語りませんが、ちょっと似てるかなって…。(もちろん、虐待なんてしていません!)
とにかく、この動画を通して客観的に自分を省みたようです。
虐待している側の人間がこういった体験を通して、自分自身を見直すきっかけになればいいですね。
児童虐待について理解を深めよう
この動画を見たら、ついでに「児童虐待 なくならない」「児童虐待 対策」といったワードで GOOGLE 検索をしてみてください。
あなた(もちろんわたしもそうでした)が思っているほど、簡単な問題(子供を親から引き離せば即解決のような)でないことがすぐにわかるでしょう。
これを機に、児童虐待に対して理解を深め、自分自身はどうなのか? と問うてみるのもいいかと思います。