ここの管理人がこれまで乗ってきたバイクのインプレと当時の思い出なんかを交えながら、つらつらと書いていきたいと思います。
第二回は、ヤマハ最後の公道2ストオフロードバイク『DT230 LANZA』です。管理人(以下、わたし)が最初に買ったバイクです。
広告のコピー「スッゲー、楽しい!」は最初だけでした…。
1997年にヤマハ発動機が発売したDTシリーズの国内終焉機。水冷2スト単気筒224cc40ps6速ミッション。
DTシリーズ初めてのセルモーターを採用。当時としてはめずらしいトラクションコントロールやデジタルメーターを装備。意欲的なバイクでした。
前モデルのDT200WRと違って、2ストのセローといわれるぐらい初心者向けにハードルを下げたDT230LANZAは、排ガス規制といった時代の流れによって、翌年の2型目で姿を消しました。
▼『バイクの系譜』さまがたくさんの写真でLANZAを紹介されています。良記事です。
DT200WRの後継機は初心者向けオフロードバイクだった…
『DT50』を降りてからは、知人にもらったスクーターに乗ってました。
このスクーター、夜中にその知人がハイエースに乗せてわたしの家まで持ってきてくれました。
ハイエースのバッグドアを開けると、暗闇の中でシルエットしかわからないスクーターが鎖やロープを張って動かないようにつながれていて…
「奴隷が連れてこられたのかな…」
って、一瞬思いましたよ。太陽のもとで見たら、ボロボロなのがわかりました…。
この頂いたスクータは、走行中にサイドカバーやミラーやナンバープレートが脱落したり、ブレーキをかけるとレバーが元に戻らなくなったり、エンジンがカラカラと音を立てたりするなかなかの優れものでした。
バイク屋さんは「いつ壊れてもおかしくない」って言ってましたけど、すでに壊れてるような…。(エンジンが止まるってことなんでしょうね)
というわけで、「いつ壊れてもおかしくない」ので、その日のためにどんなバイクがあるのかを雑誌で物色していると、ちょっと小さな記事でDT200WRの後継機の予想図(絵)が描いてありました。
「おお、フルサイズ、フルスペックのDT200WRに似たデザインでかっこいい。」「これ欲しい」
と思い、現物を見ずに販売店さんに次期DTを予約注文し、中型バイク免許を取得!
ところがヤマハから正式に発表されてみると、
「えぇっ…全然違うデザインやん…」「しかも、好みのデザインじゃないし…」
ってわけで、がっかり感が半端なかったです。
予約をキャンセルして同時期に発売したCRM250ARに変更しようかと思ったのですが…まあ予約もしちゃったしということでDT230LANZAを購入。
で、実際にDT230に乗ってみるとこれがなかなかすごい!
DT230は「スッゲー、楽しい!」バイクでした
結論から言うと初心者にぴったりの2ストオフロードバイク。それがDT230LANZAって感じですね。
初心者にぴったりな2ストといってもさすが2スト。パワーが半端ない!公道ではラフなアクセル操作はできません。
そして、車体が軽く小さいおかげでクイックに走れる!スピードの緩急がつけやすい!また、足つきもいいから乗りやすい!
広告のコピー「すっげー、楽しい!」は本当でした。
あと、2ストなんですけど、極低速でもストレスもあまりなくトコトコゆっくり走りやすかったように思います。林道に行った時、けっこう長い急坂を安定してゆっくり登って行ったのにはびっくりしました。
2スト版セローといわれる所以(ゆえん)かな。
デザインは好きになれませんでしたが、本当に乗って楽しいバイクでした。
DT230の初期型の不満点は…
さて、ここからがちょっと残念なところ。
初期型(1型)DT230は、加速騒音規制に対応するために40Km/hのあたりでプラグの点火をいじっているそう。
「これからスピードを上げていくぜ!」ってシフトを上げてアクセルをさらにひねったところで急に失速して体がつんのめり(前に倒れそうになる)になるんですよ。
「危ないわ!(怒)」
というか、うっかりこの仕様を忘れてるとびっくりするんですよね。
※配線カットでキャンセルできます。
燃費も良くなかったですね。タンクの容量は11リットル。街中走ってリッター9.5〜10Kmぐらい。ツーリングでリッター18Km。
2ストだからしょうがないのですが、エンジンオイルの消費が半端ない!だいたい走行距離1000Kmちょっとでオイルタンクが空に。
オイルの消費が激しいからだと思うんですが、服の背は真っ黒だし、Tシャツはオイルで溶けて小さな穴だらけ(たぶん酸化)。後ろを走る車のフロントガラスに黒い粒が飛び散ってるし…。DT230の2型では、過剰なオイル消費を制御させるYCLSが搭載されました。
あと、あまり良くなかった点をあげると、コストダウン(定価435,000円)が激しかったってところかな。前のモデルDT200WRと比べると足回りが残念。
それと、DT230のスイングアームは鉄。2型からはアルミスイングアームに変更されました。
くやしい!
タンクのシュラウドは、他のオフ車と違って弾力性がなくパキッと割れる素材。これも2型から弾力性のある素材に変更。
くやしい!!
大きな不満点はそんなところですが「スッゲー、楽しい!」というのは間違いないバイクでした。
エンジンの不調。ついにその日が…
しかし、わたしにとって「スッゲー、楽しい!」のは購入して3ヶ月の間ぐらいまで。
購入時から、アクセルを少しでも速く回すと、煙幕かってぐらい白い排気煙が噴き出す。
また、長距離走った次の日はエンジンかからなかったり、走ってる途中でエンジン止まったり。
それらの症状が日に日に酷くなっていきました。
購入3ヶ月目ぐらいから、はっきりわかるようになったので「おかしい」と何度も販売店さんに症状を話していたのですが、
「乗り方が悪い」
「2ストなんだから回さないとプラグがすぐかぶる、それが原因」ということでいつも決着…。
しかし、状態が悪化しながら二年ぐらい乗り続けたある日のこと、いつもより素早くアクセルをガバッと開けたら、これまでに見たことのないような白煙をあげてエンジンが停止し、不動に。
エンジンが焼き付きました…。
というわけで、最初の3ヶ月ぐらいだけでしょうか、DT230のポテンシャルを楽しめたのは…。度々のエンジン停止と白煙でメンタル的に苦行なだけでした。
これまでの不調はオイルシールが原因…
初期型DT230のクランクシャフトオイルシールの耐久性がイマイチで破損するそう。これがエンジン焼き付きの原因でした。
レースシーンと違って公道ではあまりハードな乗り方をしないので、エンジンが徐々に焼きついていったみたいです。
じつは、購入して1〜2ヶ月後ぐらいだったかな。販売店さんに持って行って初回点検してもらいました。そのとき、ギアオイルを替えてもらったところ、さらさらな乳白色のギアオイルがDT230から出てきたんですよね。
おそらく、この時すでにオイルシールが破損してギアオイルが冷却水と混じっていたわけです…。
ヤマハさんはオイルシールの対策部品を出していたそうですが、リコール級の話だと思うのですよ。
なんちゃってオフローダーの末路…
そんなわけで、エンジンの修理(一部のみ)をしてもらい、「やったー!」「直ったー!」と走り出し、しばらくしてエンジン内部から、
カラカラカラ…!
と甲高い音が…。
なんか嫌になってしばらくしてから手放しました…。
そういえば、オフロードバイクなのにDT230で林道に行ったのは覚えてる限りたったの一回だけ。
そう、わたしはなんちゃってオフローダーなのですよ。
しかも、ツーリングマップルを見ながら2時間かけてたどり着いたその林道は、5分ぐらい走ったところで遊歩道になっていました。すぐに引き返しました…。
この頃、わたしの住んでる周りは、オフ車で走れる場所がほぼなくなっていました。
だから「次はどんなタイプのバイクに乗ろうかな?」とあれこれ思案していたのですが、次もオフロードバイクを買ってしまいました…。
購入したのは『DR-Z400S』。次回に続きます。